バルサのスタートダッシュは完璧
試合終了のホイッスルが鳴り響くと、90分間ハードにプレーしたサンティ・カソルラはピッチに座り込み、しばらく顔を上げることができなかった。無理もない。残留を争うビジャレアルが、リーグで単独首位に立つバルセロナ相手にあともう少しで勝つことができていたのだから。
エスタディオ・デ・ラ・セラミカで行われたリーガ・エスパニョーラ第30節、ビジャレアル対バルセロナの一戦は両チーム合わせて8得点が生まれた壮絶な乱打戦となった。そんな同試合で苦戦を強いられたのは、まさかのアウェイチームだ。
バルセロナはこの日、リオネル・メッシ、ジェラール・ピケ、イバン・ラキティッチら複数の主力選手を温存。先発メンバーにはフィリッペ・コウチーニョやマルコム、アルトゥーロ・ビダルといった選手が名を連ねた。
立ち上がりからボールを支配したのはやはりアウェイチーム。11人全員がしっかりと繋ぐ意識を持ち、ゆっくりとパスを回していく。時折、素早い縦パスを織り交ぜることで一気に攻撃が加速し、ビジャレアル守備陣の陣形が整う前に崩し切るという場面もあった。
一方ビジャレアルはカウンターからいくつかのチャンスを迎えた。最前線のカール・トコ・エカンビ、19歳の新鋭サミュエル・チャックエズらスピードが持ち味の選手をスペースへ走らせ、そこにビセンテ・イボーラ、カソルラらが絡んでくるなど厚みのある攻めを展開することができ、フィニッシュまで持ち込んだ。
しかし先制したのはアウェイチームだった。12分、右サイドを突破したマルコムがペナルティーエリア内でフリーになっていたコウチーニョへパス。背番号7が落ち着いてこれを沈めさっそくリードを奪った。
そのわずか4分後にはビダルのクロスをマルコムが頭で合わせ早くも2点目を奪取。バルセロナのスタートはほぼ完璧だった。