失敗も全て自分の糧に。マリノスで目指すのは…
JFLで16試合、関東リーグ1部で15試合、そしてJ3で藤枝と琉球時代合わせて147試合。恵まれているとは言えない環境にも腐らず、毎日努力を重ねてきたことで、マリノスに認められた。最初の接点は、2018年1月の石垣島キャンプで行われた練習試合。似通ったスタイルだった両チームがぶつかり合い、そこで琉球の正守護神として攻守に高い能力を発揮していた朴は、1年後に飛躍を遂げる。
彼の言う通り、諦めなければ必ず見てくれている人がいるのである。
「J3然り、地域リーグももちろんそうですし、JFLでも試合に出させてもらっていましたけれども、全てが自分の糧になっていました。そこで失敗したことを、じゃあ次はどうしたらいいのかと常に考えて、毎日毎日過ごしたことが、今のこのマリノスでの試合出場までつながっていると思う。ここがゴールじゃないので、どんどんまたさらに課題が出て、それを修正してとつながっていくんですけれども、間違いなくこうやって試合に出続けた結果、今があるというのは事実かなと感じています」
朴のマリノスでの挑戦は始まったばかり。鳥栖戦に出場したから終わりではなく、今後も他の3人のGKたちと切磋琢磨する「めちゃめちゃポジティブ」な日々は続き、最高のパフォーマンスを発揮するための次なるチャンスを待つことになる。果敢な飛び出しやセービングの瞬発力、琉球のキャプテンとして培ったリーダーシップ、そして類い稀なパスセンスはすでに証明済みだが、これまでと変わらずGKとしての自分を磨く毎日に終わりはない。
「もちろんレギュラーを取ったわけじゃないし、来た当初から言っている通り、タイトルを獲りにマリノスに来ました。もちろん試合に自分が出て活躍して、チームがタイトルを獲ればベストですけれども、なかなかそうじゃない状況も生まれると思うんですよね。
そういうのを抜きにして、本当にマリノスの一員として、しっかりチームのタイトル獲得に貢献できるようにすることが今年の目標で、試合に出ていようが、サブだろうが、ベンチ外だろうが、自分のやることは変わらないです。ここで俺のサッカー人生は終わりじゃない。まだまだ続けていきたいと思っているので、マリノスが終点ではないかもしれない。そこまで踏まえて、1日1日、しっかりやっていければなと思っています」
(取材・文:舩木渉)
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