29歳の守護神が開いた夢への扉
地域リーグも経験した29歳の守護神は、「〇〇の選手」とカテゴライズされて、それに基づいた先入観や固定化したイメージを持たれがちな日本サッカー界において、後進に希望をもたらす大きな夢の扉を開いた。鳥栖戦でキャリアにおける重要な一歩を踏み出した朴は言う。
「確かに自分も大学を卒業して、そのままJ2とかへ行けなかった時に、JFLへ行ったじゃないですか。その時、『もう(Jリーグに)上がれないな』って正直思ったんですよね、やっぱり。もう見向きもされていないので、何か目に見える数字がないと、本当に凄い成績を残さない限りダメだなと思ってやっていたんですけど、本当にタイミング良くJ3ができた。
J3ができて、天皇杯とかで上のカテゴリと試合できることもありますし、キャンプで他のJのクラブと試合をできることが自分にとってキッカケになったんです。なので、上に行くことを諦めてはいませんでした。まず自分は元々サッカーが好きだったので、確かに上のカテゴリに行きたくても行けない現状なりに、シンプルにサッカーが上手くなるために何をしなきゃいけないのかなと、自分なりにすごく考えてやっていたんですよね。
それこそ世界のサッカーを見るとか、今何がトレンドでGKに何が求められているのかとか、結構自分なりに研究して、それを練習に落とし込んでやってきたつもりなので、それを諦めず、腐らずやれたことが、こうやってマリノスに移籍できて、試合に出ることができてということに繋がってきていると思います。もちろん周りの力があってのことなんですけれども。
そしてGKに関しては、(自分のような例は)すごくレアなケースだと思うんです。そこはシンプルに嬉しい。本当に社会人にも上手なGKって本当に多いんですよね。自分が諦めることがすごく嫌いなので、今GKをやっている選手は決して諦めることなく、本当に信念を持ってやり続けることができれば、こうやってチャンスが来るんだよというのを、どこか1つの結果として何か残せたらなという気持ちを常に抱きながらサッカーをやってきました。
そういう面ではすごく感慨深かった。1つ自分が同じサッカー仲間とか、サッカー少年とか、プロを目指している子どもたち、今は下のリーグにいるけれどまだまだ諦めていない選手たちに、少しでも力になれたのかなという部分では、めちゃめちゃ有意義な1日だったのかなと、すごく感じています」