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Jリーグ 6年前

マリノスGKパク・イルギュが開いた夢の扉。地域Lも経験した29歳の挑戦、不断の努力が実ったJ1初舞台

text by 舩木渉 photo by Getty Images

変わりつつある意識。突如抜てきの理由は…

パク・イルギュ
FC琉球時代のパク・イルギュ【写真:Getty Images】

 これまでの2試合、自分のパフォーマンスには決して納得がいっているわけではない。だからこそである。なぜ、このタイミングでリーグ戦出場のチャンスをもらえたのか。

「正直、わからないんですよね。自分もルヴァンカップの試合は良くなかったですし、湘南戦も2失点していますし、ビルドアップの部分でも、もちろんチャレンジはしにいっていましたけど、ミスもすごく多かったですし、何だったんですかね…」

 それでも指揮官は朴が日々ひたむきに練習に取り組み、貪欲に成長しようともがく姿を見逃していなかった。ポステコグルー監督は「彼はマリノスに入団してから、毎日一生懸命練習していた。特別な理由というより、自分はその努力を見ていたので、ここでチャンスをと思った」と鳥栖戦での起用理由を語る。

 GKというポジションは一度誰かに決まってしまうと、なかなかレギュラーが交代することがない。カップ戦で控えGKにチャンスが回ってくることはあっても、リーグ戦なら尚更だ。飯倉が2年間、特にアタッキング・フットボールに取り組み始めた昨季は欠かせない存在だと考えられてきた中で、異例の抜てきだった。

 その飯倉はシーズン開幕前、「朴が新たに加入したことでライバルが増えたのか?」と問うと、こう答えた。

「ライバルというよりも、俺はそう思っていなくて、一緒にやっていくチームの仲間だよ。別に誰が出ようが、俺が出たら俺が頑張るし、パギ(朴の愛称)が出たらパギを応援するし、それは(杉本)大地も(原田)岳も同じ。よく記事でライバルだあーだーこーだって言うけど、俺はそうは思っていないし、そんな堅苦しいものというより、チームが勝つための存在なんだから別に争う必要はない」

 共に高め合って、チームの勝利を目指すかけがえのない仲間の1人。もちろん朴の実力や日々の努力を認めているからこその関係性でもある。お互いに持っている意識を共有し、必要があれば変化させていく。先述した「ミス」に対する考え方も、マリノスに来てから少しずつ変わってきた。

 朴自身も「だいぶポジティブに考えられるようになりましたね。1つのミスに対してすごくネガティブになっていたんですけど、いい意味でポジティブに捉えて、起きたことはもうしょうがないと。そのミスが起きた後、次にどうするかというところに着目して、生活でもそうですし、サッカーも少しずつできるようになってきました」と自らの前向きな成長を実感している。

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