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Jリーグ 6年前

稲本潤一は今、どうしているのか? あのゴールから17年…日本を沸かせた男が選んだJ3での挑戦

text by 藤江直人 photo by Getty Images

「もっと高い意識をもって取り組んでいかないと」

稲本潤一
稲本潤一は2019年も全力で走り続ける【写真:Getty Images】

 いつかは誰にでも、現役生活に別れを告げる瞬間が訪れる。自身の場合もそう遠くはないと覚悟しながらも、小野や遠藤保仁(ガンバ大阪)、南雄太(横浜FC)、本山雅志(ギラヴァンツ北九州)、オーナーおよび監督との三足の草鞋で奮闘中の高原直泰(沖縄SV)ら、準優勝の快挙を達成した1999年のワールドユース選手権(現FIFA U-20ワールドカップ)のメンバーたちへも思いを馳せる。

「もちろん同じフィールドでプレーしている選手や、同じ歳の選手は刺激になりますよね」

 J3に参戦して2年目の2015シーズンこそ4位に食い込んだ相模原だが、その後の3シーズンは11位、12位、9位に甘んじている。スタジアムの設備や練習環境などがネックになり、J2クラブライセンスが交付されない状況が続く相模原にとって、J3での成績を介して世論を動かし、行政側に届けていくしかない。チームのレベルを上げていくために、稲本も忌憚なく発信していくつもりだ。

「もう少し攻撃のクオリティを上げていかないと。J3のレベルに合わせるのではなく、もっと高い意識をもって取り組んでいかないと、チームとしては上がっていかないかな、と。若手と中堅、ベテランのバランスはよく取れていると思うし、若手のなかには技術も元気もある選手も大勢いるから、彼らどう伸びていくかが長いリーグを戦っていく上ですごく大事になりますよね」

 札幌時代に家族同士で親交を深めていたFW都倉賢(現セレッソ大阪)は、間近で見てきた稲本が長く現役でプレーできる秘訣をこう語っていた。おそらくは相模原でも変わっていないだろう。

「イナさんは準備の人というか、当たり前のことを当たり前に淡々と進めていくなかで、継続は力なりを体現している。毎日の在り方やサッカーと向き合うスタンスを見てきたなかで、日々の積み重ねが力になるとあらためて学びました」

 ヴァンラーレ八戸が新たに参入し、J1と同じ18チーム体制となった今季のJ3戦線。12月8日の最終節まで34試合をこなす長丁場の戦いで、三浦文丈新監督に率いられる相模原を縁の下から支える稲本は、ピッチ上でも新たな力を加えられるシーンを思い浮かべながら、技術とパワー、そして経験が凝縮された身長181cm体重77kgのボディの状態を上げていく。

(取材・文:藤江直人)

【了】

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