指揮官が満足したチームの成長
欧州でEURO2020の予選が始まった。
昨年のロシアワールドカップで優勝した現世界王者のフランス代表は22日、敵地で行われた初戦のモルドバ戦に4-1と快勝。3日後の地元フランスでの第2戦は、前回のEURO2016で初出場ながらベスト8入りとセンセーションを巻き起こしたアイスランドに4-0と、同じく4得点で勝利した。
2戦2勝と順当な滑り出しで、ディディエ・デシャン監督も、「6ポイントを取るという目標が達成できた。良い3月になった」とご満悦だったが、指揮官が満足したのは、結果よりもチームの成長ぶりだ。
とくにモルドバ戦、アイスランド戦ともに、オリビエ・ジルー、アントワーヌ・グリーズマン、キリアン・エムバペのアタッカー3人衆が揃って得点と、この2連戦では攻撃面の機能性が十分に発揮されていた。
前半から順調に得点を積み上げたモルドバ戦とは一転、アイスランド戦では、12分と早い時間にサミュエル・ウンティティのヘディングシュートで先制した後は、精神的にも肉体的にもタフなビッグマンが5人並んだバックライン相手に、なかなか追加点を奪えなかった。
しかし後半、相手に疲れが見え出した60分過ぎからよりスペースが開くようになると、68分、ジルーがゴール至近距離から叩きこんだのを皮切りに、10分後にはぶっちぎりの走力を見せつけてエムバペが3点目、さらにグリーズマンが4点目を押し込んだ。
この両戦では、デシャン監督は同じ先発イレブンを投入した。
リュカ・エルナンデスとリュカ・ディーニュが負傷中のため、2017年11月以来、1年半ぶりの出場となった左サイドバックのレーバン・クルザワを除いては、全員がロシアW杯の優勝メンバー。過酷な大会を戦い抜き、チームに熟成度が増しているであろうことは予想できたが、中でも今回、特に感じたのは、どこへパスを出してどう展開する、という直感的な判断がよりスピーディーになり、さらにはそれが選手同士のあいだで完璧に共有されていた点だ。