結果を出さなければ生き残れない
いい意味での親善試合らしいスタメン選手たちのチャレンジが足りなかったことに関して柴崎に聞くと「やってる選手たちは、もうちょっとうまくやりたかったという思いがあると思います」と答えながら彼なりの見解を語ってくれた。
「より得点機会、シュートチャンスを多くしていかないと相手も恐怖を感じないと思います。(前半から)イケイケの展開になる必要はないと思いますけど、もうちょっと前半のうちに相手の布陣が整わないうちにもうちょっと早く前に付けたりサポートをしたりできれば、ミスの可能性は高くなりますけど、いいチャレンジになったかなと思います」
あえて擁護するならばボリビアはコロンビアと違い、攻撃時も全体を押し上げるだけでほとんどブロックを崩さず、あまりサイドバックやボランチが前線を追い越さない攻撃に終始するので、日本がボールを持った瞬間にも陣形があまり崩れておらず、そこで縦パスを選択すると嫌なタイミングでボールを失ってカウンターになるリスクはあった。
攻守の切り替わりから効果的な攻撃を繰り出しにくい相手に対して、ある程度、遅攻がベースになるのは仕方ない部分もあるが、その中でサイドチェンジや裏に入れて縦に揺さぶる、1つ飛ばしたパスなどを織り交ぜていかないと、崩しの起点と言うものはできにくい。そうしたチャレンジを前半からもっとしてもいいメンバーだったし、していかないと明確なアピールにならない。
そこは森保監督もAFCアジアカップ2019の決勝のカタール戦、さらにコロンビア戦と連敗中だったこともあり、ボリビア戦は親善試合とはいえ失敗が許されない中で、フレッシュなメンバーにそこを背負わせてしまった部分もあるかもしれない。ただ、そうした中で結果を出してアピールしないと生き残っていけない場所でもある。
今回は大迫勇也、吉田麻也、酒井宏樹、長友佑都、遠藤航、原口元気といったメンバーがいない中で初招集の選手、森保監督になってから初めて招集された復帰組が存在価値をアピールして行くべき機会だった。そこから評価するならば残念ながら十分に達成できたとは言い難い。
(取材・文:河治良幸)
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