持ち味を発揮できたのか?
そうした流れから見れば、後半16分に宇佐美貴史から堂安律、乾貴士から中島翔哉、さらに後半23分に香川真司から南野拓実、小林祐希から柴崎岳という交代があり、攻撃に勢いと迫力を出して後半31分に堂安、南野、中島のラインで得点が生まれた結果も1つの試合として考えれば“プラン通り”なのかもしれない。
しかし、フレッシュな選手を起用してテストするという目的において、もともと森保監督が言っていた“個人の持ち味を発揮する”という意味で評価するなら不十分であったし、スタートのメンバーが前半なりにもっと得点にこだわってリスクチャレンジしていくことが求められた試合でもあった。
コロンビア戦でキャプテンをつとめた柴崎岳は「前半しっかりボールをつなぎながら物足りなく見えたという見方もできますし、しっかりとボールを保持しながら相手が落ちたところ、崩れたところを交代選手がフィニッシュしたという見方もできます」という二つの見解ができることを語った。
つまり90分の試合として捉えるならば「チーム全体として勝利できたと思いますし、前後半を分けて考える必要はない」(柴崎)ということで、前半の試合運びが後半に効いていたとも言うことができる。しかしながらフレッシュな選手や久しぶりの代表となる選手のアピールの機会として見れば、ダイナミックなチャレンジがあまりに無かったことも事実だ。
「個人的には前半のような戦い方と後半のようなスピーディーな戦い方をなるべくバランスよく使い分けて戦いたいと思っているので、前半のようなリスクをかけない回し方だけでもダメだと思います。ただボールの取られ方によっては危険なシーンを招いてしまうこともあるので、(出ている)選手の判断もありますし、これからも成熟度になって行くと思います」
そう柴崎は語るが、6人の交代が許される親善試合においては前半と後半の戦い方があれだけ違うと、結局スタートのメンバーは後半途中から入ってくる“真打ち”のための“露払い”をしただけになってしまう。特に交代選手は攻撃的なポジションが多くなるだけに、シンプルに“結果を出したのはいつもの主力か”と言う見方をされても仕方ない。