個はあるがチームとしてアイデア不足
中島翔哉【写真：Getty Images】
後半に入ってようやく左サイドから崩せるようになった。前半から良いポジショニングでパスを受けていた畠中に、前方の乾が呼応して隙間で縦パスを引き出す。さらに安西幸輝が連動して左サイドをえぐる。ただ、右は宇佐美がマークを外すことができず、三浦からの展開はほとんど不発のまま。
中島翔哉、堂安律、南野拓実、柴崎岳を相次いで投入してからテンポアップして、相手のミスからのショートカウンターで1点を奪った。攻撃は目に見えて活性化したが、大半は中島の個人技である。このチームにおける中島は、例えばブラジル代表におけるネイマールのような切り札で別格のアタッカーだ。ただ、それは「自分たちのサッカー」以前の中島による「自分のサッカー」であり、チームとして評価するのは難しい。中島の能力を最大限活用するための機能性もまだみえていない。
中島の個の力はあっても、試合を読んで流れを変えられる選手がいない。意図を持って何かを仕掛けていくプレーが少ない。アジアカップ決勝のように、日本の狙いであるハイプレスを外されたときの対応力を問われる試合ではなく、守備力が試される機会はほとんどなかった。
一方で、引かれた相手をどう崩すかという課題は相変わらず。アジアカップからチームとしての進歩は見られていない。そういうジャッジのできる試合ではないのかもしれないが、チームとしての意図、アイデアはあまり感じられないままだった。
（文：西部謙司）
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