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日本代表 6年前

中島翔哉はカタールでどう変わったのか? 誰の目にも明らかな進化、そして絶対にブレない思考

text by 舩木渉 photo by Getty Images

カタールリーグは本当に質が低いのか?

ルイ・ファリア
アル・ドゥハイルの監督は最近までジョゼ・モウリーニョ(右)の右腕だったルイ・ファリア(左)が務める【写真:Getty Images】

 中島も「アル・ドゥハイルで監督にすごい言われる」と守備面での要求が存在していることを明かし、コロンビア戦後には「それがすごく成長に繋がってますし、自分もいつもよりというか、これまでの代表よりボールを奪えていた」と手応えも語っていた。さらに「そういうのを求めてカタールに行った」とも。

 アル・ドゥハイルは守備に回ると5-4-1の形で相手ボールホルダーを追い込んでいく。2シャドーの選手は両サイドに出て「5-4-1」の「4」を支えることになるが、そこで中島は主に左に開いて自らのタスクをこなす。

 かつてジョゼ・モウリーニョの副官として戦術面を任されていたルイ・ファリアがアル・ドゥハイルの監督を務めていることもあり、チームには攻守において比較的整った組織ベースの戦い方が植えつけられている。つまり守備においても1人ひとりが組織を破綻させないような意識を持ちながら走らなければならない。

 中島も常に首を振って、自分がふさわしいポジションに立っているか確認し、ある時は微調整しながら、ルイ・ファリア監督に教え込まれたプレーを実践している。守備的な戦いを好むモウリーニョの右腕を務めていた男が要求するプレーのレベルは、欧州のトップレベルと比較しても遜色ない基準になっていると言えるだろう。

 ポルティモネンセで中心選手として欧州のビッグクラブからも注目を集める存在になった中島が、カタールに移籍したことは物議を醸した。「中東に行って大丈夫なのか」「レベルが低いのではないか」など、様々な懸念があったのも事実だ。

 ここで私見を述べさせてもらうと、カタール移籍はいい決断だったのではないかと思っている。アジアカップでカタール代表が優勝したことからも分かる通り、彼らのレベルは決して低くないし、むしろ日本代表よりも強いチームの一員かそれに準じるレベルの選手たちが国内リーグに多くいる。

 そこで「彼らは欧州でプレーしていないから質が低い」と断じるのは早計で、なぜ海外に行かないかということに目を向ける必要もある。理由は単純だ。カタールリーグの給与水準が高く、生活が安定しているので、わざわざリスクを冒して欧州に渡る意味を見い出せていないから。これまでも欧州でプレーできるレベルの選手は中東にも多くいたが、彼らはやはり「安定」を選んだ。

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