「カタールには成長するために行った」
相変わらずプレーに迷いがなく、サッカーを純粋に楽しんでいる。言い方は悪いが、中島翔哉は24歳になっても“サッカー小僧”のままだ。練習中も暇があればボールと戯れ、いつでも笑顔を絶やさない。
22日のコロンビア戦には背番号8を着けて先発出場し、これまでと変わらず日本代表の左サイドから絶大な存在感を放った。だが、前半と後半ではプレーの質に変化があったように感じた。守備での気の利いたポジショニングは前半以上に目につき、自らのボール奪取や味方からのパスを受けて積極的にドリブルで仕掛けてシュートまで持ち込む。
流れが悪くなった中でも、なんとか状況を打開しようとする。そこにどんな意図があったのか、あるいは自ら前向きな姿勢を示すことでチームに対して発信したいメッセージがあったのではないか。コロンビア戦翌々日となった24日の練習後、中島にそんな質問をぶつけてみた。
「発信……発信はないですね(笑)。僕よりも全然サッカーを知っている、経験のある選手たちがたくさんいるので、そういう選手たちに頼りながら、自分のできることをもちろん全力でやっています」
いい意味で「深く考えていない」と言えばいいのだろうか。この答えを聞いて、まるで彼のドリブルにかわされて尻もちをつかされたようだった。しかも、自分があっさり置いていかれたことに、「あ…やられた」と数秒後まで気づかないくらいの圧倒的なスピードで。
とはいえ中島の振る舞いが日本にとって効果的に働いていたことに疑いはない。カタールのアル・ドゥハイルへ移籍して、チーム内での役割もポルティモネンセ時代とは違う中で、新たに掴んだ感覚があるのかもしれない。
カタールで取り組んでいることが自分のプレーにどう影響しているかと問われると、中島は「いやもう、全てです」と言い、「カタールではより早い判断が必要になってくると僕は思っているので、そういう早い判断の中での精度だったりとか、ラストパスだとか、ドリブルのスピード、そういうのは日々勉強になっています」と攻撃面でのポジティブな変化にも言及した。
「カタールには成長するために行った。より成長して、よりサッカーを楽しくやるためにカタールでプレーすることを決めたので、それはすごくできていると思いますし、充実したいい成長ができているんじゃないかなと思います」