これまでは自身の役割に専念できた
「(次は)初めてやる選手も沢山いるし、そういう選手をうまく生かしながらやっていく必要がある。若いやつの勢いっていうのは非常に大事。僕自身がうまくコントロールしながらやれれば、より彼らのよさも生かせるし、自分も生きると思うので、融合は楽しみですね」と自らがけん引役となって、若い力を躍動させていく腹積もりだ。
コロンビア戦でも、中盤でタメを作りながら左の中島翔哉(アルドゥハイル)やサイドチェンジを送ったり、最前線に入った鎌田大地(シントトロイデン)にタテパスを配球するなど、20分あまりのプレー時間の中で「周りを円滑に動かそう」という意識を鮮明にしていた。次のボリビア戦ではそういったアクションを増やすと同時に、精神面でも周囲をリードしていく仕事が求められる。
サッカーの90分間というのは、苦しい時間帯が必ず訪れる。コロンビア戦を見ても、押し込んでいた前半と相手がギアを上げたことで翻弄された後半とは全く違うものになった。そういう劣勢の時間帯こそ、リーダーがしっかりとチームを統率しなければならない。
平成生まれ最初の日本代表選手だった香川が2008年5月のコートジボワール戦(豊田)で初キャップを飾った頃は、楢崎正剛(名古屋クラブスペシャルフェロー)や中澤佑二(前横浜FM)、中村俊輔(磐田)といった年長者たちが揃っていて、19歳の若武者はガムシャラに自分を押し出すだけでよかった。
自身がレギュラーに定着した2010年南アフリカワールドカップ以降も長谷部誠(フランクフルト)という傑出したキャプテンがいて、チーム全体の目配りをしてくれたから、香川は安心して自身の役割に専念できた。
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