大迫依存脱却のカギは
仮に次戦で宇佐美、香川、乾が2列目に並び、最前線に南野が入ったとしても、コロンビア戦と状況はあまり変わらない。鎌田の場合は180cmの高さがある点は心強いが、彼もまたヘディングで果敢に競り合ったり、DFを背負って動くタイプではない。それを踏まえながら、攻撃陣全員が何らかの工夫を凝らしていかなければ、得点は取れないだろう。
「世界の強豪に1点取られて、相手が少し引いて後ろで守る体制に入った時にどうやって崩すのか。そこは昨日の感じだったら少し物足りないんじゃないかなと思ってるし、今後どうしていくべきかっていうのは、チームとしても改善していかなければいけない」と南野も神妙な面持ちでコメントしていた。その手詰まり感を打破しない限り、いつまで経っても大迫依存症からは抜け出せないのだ。
AFCアジアカップ2019の後、大迫は背中を痛めて長期離脱。ようやく復帰のメドが立ったと見られていたが、それがさらにずれ込んだという報道もある。そんな状態ではクラブ側はとてもコパアメリカ参戦を許さないだろう。となれば、やはり大迫不在で南米での過酷な環境を制する術を模索するしかない。
3カ月後の大舞台を向けて、ボリビア戦は最高のテストの場になり得る。ここで香川と乾というロシア16強戦士たちがしっかりと攻撃陣をけん引し、先々への道筋を示す必要がある。
ベルギー戦で見せたような乾のゴールシーンなどは1つの解決策になり得る。遠目からのシュートの精度を上げていく、相手のスキを突いてスペースに侵入してフィニッシュの狙うといった細かいディテールにこだわって、泥臭く貪欲にゴールを奪う日本代表を取り戻してほしい。香川と乾はそのけん引役になるべきだ。極端に言えば、この一戦がカタール行きの命運を左右するゲームになる可能性も否定できない。
(取材・文:元川悦子)
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