ボールを収められる1トップの不在
ただ、難しいのは、大迫勇也という前線でタメを作ってくれるターゲットマンがいないこと。香川が代表で輝きを放ち続けたこの10年超を考えてみると、日本代表には前田遼一、大迫とボールを収められる1トップが時代ごとにいた。
彼らとややタイプの異なる岡崎慎司が最前線を務めた時期もあったが、彼もドイツやイングランドで屈強なDF陣と駆け引きしてきた経験を駆使して起点を作る仕事を精力的にこなしてくれた。そういう存在があったからこそ、10番をつける男が前を向いてイキイキと躍動できたのだろう。
しかしながら、今はそういう選手がいないのが実情。南野も鎌田も所属クラブで2トップの一角を占めているものの、セカンドトップとしてターゲットマンの周りを衛星的に動き回る仕事が中心。自らが最前線で体を張ってDFを背負いながらボールを収めるような仕事はしていない。
それは鈴木武蔵に関しても同様だ。だからこそ、2列目のアタッカー陣が1トップと有機的に絡んで自ら起点を作り、勢いを持ってゴールに迫るような役割が必要になってくるのだ。
「流動的にプレーするのは自分たちがやりたいことの1つでもあるし、強みだとも思うので、そこはもっともっとやっていけばいい」と短時間1トップを務めた南野ももっと前線4枚の流動性と連動性を高めていかなければならないと考えている。
とはいえ、1点をリードした後のコロンビアのように、相手ががっちり引いてブロックを作ってしまうと、動き回るスペースがなくなり、攻めあぐねる傾向は強い。コロンビア戦でも中島と乾がサイドから積極的に仕掛けて打開策を見出そうとしていたが、クロスを入れてもターゲットマンがいなければ勝てない。小柄でテクニカルな選手を並べているデメリットを露呈した格好だった。
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