日本代表は危機的な岐路に
森保監督は今月14日の日本代表メンバー発表会見で、南米勢との2連戦に向けて「日本代表としてもそうですけど、日本人のサッカー選手として、チームとしても学ぶべきところはまだまだたくさんある」と語っていた。そこでは技術の高さや、個人の駆け引きの巧みさを身につけなければならないプレーに挙げていた。
さらに今回の2連戦は「日本代表としてのベースをより強固にする」、つまり選手層を厚くすることも1つのテーマだった。では、コロンビア戦でそういった指針に対して成果は出ただろうか。
実際にピッチでは個人の駆け引きでコロンビアの選手たちを上回れたとは言えないし、チームとしての状況の変化への対応力もアジアカップ決勝で露呈した未熟さを克服できていなかった。選手交代に込められたメッセージや影響力も薄く、11人の意識を揃えての戦術変更も曖昧で、相手の予想を上回って混乱を作り出すまでには至らなかった。
ケイロス監督は日本戦に向けた前日記者会見の中で「コロンビア代表は変化の時期に来ていて、一歩前に進まなければいけないと思う。その仕事がいまスタートの段階であって、自分の頭はコロンビアのことで一杯。申し訳ないが、あまり日本のことを考える余裕はなく、そこまでできていない」と準備不足を嘆いていたのに、このしたたかさである。
試合を終わってみれば「我々は日本をよく分析してきて、日本の特徴や強さをよくわかっていた」と述べ、日本の強みと弱みをスラスラと列挙し、試合展開の中でのアプローチの変化にも言及した。アジアカップまでイラン代表を率いていたケイロス監督が個人的に日本と連戦で豊富な情報を持っていたとしても、相手と自分たちの相互関係を考えれば前回とは全く違う試合。
それでも「全員がが与えられた仕事をしっかりやろうということにあまりにも集中しすぎて、自由にサッカーができていない感じがした」前半から、「どうなるかわからない」中での振る舞い方まで、思考と判断を止めることなく明確なビジョンを描けていた。
ファルカオも言っていた。「日本の動きに対応するのは難しかったのか?」と問われた彼は、「いや、そんなことはない。僕らは色々な戦術やシステムに慣れている。賢くやれた」と。完敗である。
日本がアジアカップで突きつけられた課題とは何だったのか。カタールとの決勝で相手の予想外な戦術に、いいようにやられて痛感した「対応力」を磨いていくのではなかったのか。コロンビアが改めて教えてくれた、日本代表にある甘さ。強豪に0-1で敗れても「自分たちのやり方がある程度通用した」と思っているのなら、それこそが甘さだ。森保ジャパンは前に進もうとしていると思いきや、捉えようによっては危険な状況に陥っていると言えるのかもしれない。
(取材・文:舩木渉)
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