コロンビアが見せた即興ダンス
柴崎岳は22日のコロンビア戦を前に、険しい表情で危機感を口にしていた。
「チームとしては、さらに試合中の修正力を高めていかなければいけないかなと思います。やっぱり今までがうまくいきすぎていた部分ももちろんあるので、アジアカップで露呈した様々な相手への対応力というものを、これからどんどん上げていかなきゃいけないかなと思います」
日本代表は結局、コロンビア代表に0-1で敗れた。またも「対応力」の低さを露呈して。スコアや公式記録上は惜敗に見えるが、実際のピッチ上で起こっていた現象を紐解けば0-3でも0-4でもおかしくなかった。それだけコロンビアとの間に地力の差があったことを、素直に認めねばならないだろう。
前半は日本がある程度主導権を握っているように見えた。だが、見方を変えればコロンビアが「作りかけ」のチームであるが故に組織として噛み合わず、彼らのペースが上がらなかったことによって日本のシュートシーンが増えていたとも考えられる。
前半のコロンビアは4-4-2をベースにスタート。GKにカミーロ・バルガス、DFに右からエリベルトン・パラシオス、ジェリー・ミナ、ダビンソン・サンチェス、デイベル・マチャド、中盤の底にウィルマール・バリオスとヘフェルソン・レルマが構え、左サイドに本来はFWのルイス・ムリエルが張り出す。トップにはキャプテンのファルカオが陣取り、自由を与えられたハメス・ロドリゲスは、セバスティアン・ビジャとポジションを入れ替えながら、中央とサイドを行ったり来たりしていた。
カルロス・ケイロス監督が就任したばかりで、全員が揃っての練習は2日間しかできていない状況のため、全体に基本的な約束事を定めた以外に細かな決まりや連係は構築されておらず、昨年10月までのチームにあったベースをある程度引き継いで選手の自主性と創造性に任せている部分もあったように見えた。
すると当然ながらうまくいかないところも出てくる。ケイロス監督は前半の戦いぶりをダンスに例え、「音楽を聴いて、その音楽通りに踊らなければいけない状況。すべてが予想通りにいったかというと、そういうわけではない」と分析していた。
前日記者会見ではチームをオーケストラに例えて「まだチューニングしている段階」と述べていたが、まさにその通りの状態だった。具体的には前線の4人と後方の4バック+2セントラルMFの距離が開いてしまい、強力な個の力を持つアタッカーたちにいい形でボールを供給できなかった。