W杯、アジア杯を戦った柴崎だからこそ…
ここは冨安がなんとか防いだが、失点にいたる流れができていたのは確かだ。そこで例えば明確にブロックを組んで耐えてから持ち直していくなり、あえて時間を使って攻撃をすることで相手の流れを切るなり、目に見える対応力、修正力をチームで発揮できないまま失点したというのは親善試合、慣れないメンバーもいたとはいえ結局ゲームコントロールのところで課題がそのまま引き継がれてしまっている。
さらに突き詰めて言えば、やはり森保一監督も認めるように、前半の自分たちが強度を相手より高められていた時間帯に得点を取りきれないことが後半のツケになって来るというのも改めて露呈された。要素、要素を抜き出せばポジティブに評価できるプレーは少なからずあったし、そうした部分の手応えを否定する必要はない。
しかし、当面の目標になるコパ・アメリカでは同じコロンビアにしても強度は上がるし、日本の前からの守備がハマらず押し込まれる時間帯も増えることが容易に想定できるだけに、良い時間帯に点を取り切る、悪い時間帯に守り切りながら、早めに修正力、対応力を発揮して流れを引き寄せると言った柔軟かつタフな戦いをしていくことが重要になる。
「もしこういう相手に“これだけやれた”と思っている部分が少しでもあるのであれば、それは正したいと思いますし、これ以上成長はできないと思うので、それをしっかり締めて、負けは負けですし、もちろん敗因はあると思うので、油断せずにやりたいと思います」
そう語る柴崎の危機感はロシアワールドカップ、AFCアジアカップと戦いながら手応えと課題を肌で感じてきた選手ならではのものでもあるかもしれないが、日本のサッカーファミリーとして共有していきたい課題でもあり、期待込みで厳しく見えてくべきものであるだろう。
(取材・文:河治良幸)
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