多彩なプレーで攻撃の形を作る試みも
前半はコロンビアを大きく上回るシュート8本を放ちながら無得点にとどまった日本。だが、ハーフタイムを境にギアを上げてきた相手にじわじわと個の力で引き離されつつあった。
そんな後半15分、森保一監督はアップの強度を上げていたエースナンバー10をつける男・香川真司を呼んだ。
「前半45分を初めて見たけど、非常にアグレッシブで速い攻撃をしていて刺激を受けた」という彼は自分がリズムの変化をもたらし、ゴールに直結する仕事をしようと思い描いていたに違いない。その矢先に冨安健洋が不運なPKを取られ、ラダメル・ファルカオに先制点を奪われたことで、香川には1点のビハインドを跳ね返す重責が託された。
同じトップ下を争うライバルでもある南野拓実が最前線に上がってタテ関係を形成したが、急造コンビはギクシャク感が垣間見えた。それでも同い年の盟友・乾貴士が右サイドに入ってからは多少はやりやすくなったのだろう。
柴崎岳に近い位置まで下がってボールを受けてタメを作ったり、左に開く中島翔哉との連係からゴール前に飛び出したり、右を駆け上がった室屋成に大きなサイドチェンジを出すなど、多彩なプレーで攻撃の形を作ろうと試みた。
「真司さんが入って相手を押し込むことができた」と柴崎も前向きにコメントしたように、乾と中島の両サイドは香川の存在によって輝きを増した。南野に代わって終盤1トップに入った鎌田大地との関係も可能性が感じられた。
しかしながら、ジョーカーとしてゴールに直結するプレーができたとは言い切れない部分があった。香川のシュートは小林祐希の左からの折り返しを左足で合わせた後半ロスタイムの決定機1本のみ。タイミングよく飛び出したが、枠を捉えることはできなかった。