“転がり込んだ”定位置。一層の危機感
とはいえ、南野にしてみれば、森保ジャパン発足時からトップ下のファーストチョイスに君臨してきた意地とプライドがある。セレッソ大阪の先輩・香川のことは「誰が見ても日本で一番実績のある選手で、一番経験があって、一番実力がある選手だと思う」と最大級のリスペクトを口にしたが、香川に遠慮してトップ下を明け渡すつもりは一切ない。
「もちろん競争だと捉えています。まずは本来の位置でどうやってプレーするかを意識していきたい」と貪欲にポジションを奪いに行く覚悟を改めて示した。
ロシアの後、本田圭佑が代表の一線から身を引き、香川もボルシア・ドルトムントでの苦境もあって招集見送りが続いたことから、ここまで代表トップ下は南野に転がり込んだような形になっていた。
もちろん彼自身が2018年のテストマッチ5戦4発という結果を残したから、指揮官の信頼を引き寄せることができたのは確かだ。が、肝心のアジアカップで再三の決定機を決めきれず、結果的にはファイナル・カタール戦の1点のみに終わったことは、本人の中にも深く刻まれている。
「チームが勝つことが一番ですし、それに対して貢献している自負はあった」と決勝後に南野は語気を強めたが、目に見える数字を残せなかった悔しさと焦燥感は募る一方だったに違いない。
だからこそ、彼は今回「アジアカップが終わって一区切りついて、また1からサバイバルが始まると思っていますし、アジアカップでプレーした時間が長かったからって、今、ポジションが確約されているわけじゃない」と自分自身の立ち位置を冷静に分析したのだ。そんな状況に加えて、香川という偉大な先輩が加わったのだから、より一層の危機感が押し寄せてきたはずだ。
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