「毎年危機感を持ってやらないと、夢にはたどり着けない」
シント=トロイデンVVもレギュラーシーズン最終節でヘントに敗れ、あと一歩のところで上位6クラブによって優勝を争うプレーオフ1への進出を逃した。「この間の試合(ヘント戦)は自分というよりチームとしてすごく足りなかったので。個人的にももっとやれないとダメですけど」と鎌田も後悔を口にしちた。
それでも森保監督はベルギーで12得点を挙げた22歳の実力を高く評価し、日本代表に呼び寄せた。かねてより「僕はペナルティエリア付近でボールを触りたいですけど、FWの選手ではない。ロングボールを胸で収めるようなプレーはできないので、裏への抜け出しやボールのないところでの動き出しで勝負するしかない」と自己分析していたMFの選手を、指揮官がどのような方針で起用するのかはわからない部分も多い。
とはいえ鎌田本人が「ここでうまく得点でもできれば(今後が)また違ってくると思いますし、これから入り続けないと意味ないと思います。本当にここで今回の合宿が、自分にとって大事になると思います」と気を引き締める通り、この1週間での2試合に出場してどれだけの結果を残せるかが将来を左右しかねない。
シント=トロイデンVVでは、フランクフルトで味わった挫折を乗り越え「僕が良ければこのチームは勝てる」という自信を手にした。今、再びぶつかった大きな壁を破れるかが「すぐにでも4大リーグに戻りたいし、そこを目指している」という、その目標を来季に向けて実現できるかにも影響してくる。
「フランクフルトに戻ってプレーするだけでもかなりのステップアップになると思います。ただ、僕が目指しているところはもっと上なので、それを考えたら22歳は若くないし、毎年危機感を持ってやらないと、夢にはたどり着けない。チャンピオンズリーグのような舞台でプレーしたいという気持ちはサッカーをやり始めた子どもの頃から変わらず持っています」
日本代表で結果を残せば、ヨーロッパリーグ出場権をかけたプレーオフに向けても弾みがつき、来季以降のステップアップにもつながっていくだろう。「選手1人ひとりが自信持ってプレーしていると思いますし、それがチームとしていい方向に向かっているなという印象です。1トップか? それはわからないですね。やったことないんで。でも日本代表は細かくパス回すチームなので、まあうまくハマれば全然できるかな」とすでに森保ジャパンで活躍するイメージも描けている。
サムライブルーをまとった鎌田の覚醒が見られるか。今こそ勝負のときだ。
(取材・文:舩木渉)
【了】