常に何かを期待させてくれる存在となった久保
気持ちも新たに代表モードへ切り替えていくうえで、FC東京の好調ぶりは大きな後押しとなる。川崎フロンターレとの開幕戦こそスコアレスドローだったが、第2節の湘南ベルマーレ戦からは3連勝。この時点で暫定首位に立った状況へ、久保はこう言及している。
「今日やっているなかでは2試合目だと思うんですけど、これで周りのチームにプレッシャーをかけられるんじゃないかなと思っています」
17日はJ1の9カードがいっせいに行われ、グランパス戦のキックオフは13時半と2番目に早かった。そして16時キックオフの一戦で、無敗で並んでいたマリノスが昇格組の大分トリニータに0-2で屈した瞬間に、FC東京の順位から「暫定」の二文字が取れた。
FC東京のグランパス撃破が、マリノスにプレッシャーをかけたかどうかはわからない。それでも、FC東京がJ1戦線で単独首位に立つのは2005シーズンの第4節以来、実に14年ぶりとなる。まるで言霊と化したかのように、久保が4歳になる前の事象が時空を超えて再現された。
常に何かを期待させてくれる存在となった久保は、しかし、いままでと変わらないポリシーを貫いている。それは「シーズン前に目標とかを掲げるのが、自分はあまり好きじゃないので。シーズンが始まってから具体的な目標が増えてくれば、またそのときに、ですね」――FC東京だけでなく年代別代表においても、覚醒しつつある逸材の目標は次から次へと脳裏に浮かんでいるかもしれない。
(取材・文:藤江直人)
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