Jリーグから日の丸へとモードを切り替え
「いや、悔しかったですね、あれは」
今シーズン初ゴールを逸した映像を見ているときの心境を問われた久保は、短い言葉のなかに感情を凝縮させた。自身への不甲斐なさだけではない。開幕戦から4試合連続で右サイドハーフの先発を託されてきた過程で、心のなかにより強く増幅させてきた責任感と自覚が、こんな言葉を紡がせてもいる。
「(自分が)決め切るところで2点差にしていれば、もっと楽にゲームを進められたかな、というのは反省点になっています」
映像を見直していたロッカールームでFC東京の公式スーツに着替えたのは、モードをJリーグから日の丸へと切り替えたからだ。今月22日からミャンマーの旧首都ヤンゴンで開催される、AFC・U-23選手権タイ2020予選に臨むU-22日本代表のメンバー23人に久保は名前を連ねている。
チームは18日にヤンゴン入りし、22日にマカオ、24日に東ティモール、26日にはミャンマーと5日間で3試合を戦う過密スケジュールに臨む。東京五輪前における最後の公式戦、来年1月にタイで開催されるAFC・U-23選手権の出場権を獲得するうえでも重要な公式戦となる。
「チームでできていることを、そのまま代表へ還元していくだけだと思うので。いつも通りですね」
冷静沈着な口調で抱負を語る久保の本来のフィールドは、5月から6月にかけてポーランドで開催される、FIFA・U-20ワールドカップに臨むU-20日本代表となる。そして今回、同時期にヨーロッパ遠征を行うU-20代表からは、久保を含めた4人が飛び級でU-22へ招集された。
そして他の3人、18歳のDF橋岡大樹(浦和レッズ)、20歳のMF齊藤未月(湘南ベルマーレ)、FC東京のチームメイトで20歳のFW田川亨介と異なるのは2点。久保がただ一人の21世紀生まれであり、世代的には2024年のパリ五輪の出場資格も有していることだ。