名実ともに日本を代表するセンターバックへ
彼自身「今年の目標としては年内に一度は(日本代表に)呼ばれたいと思ってはいたんですけど、まさかこんな早くチャンスをもらえるとは思っていなかった」と驚く日本代表招集ではあるが、未来につながる大きなチャンスがそこには転がっている。
「マリノスでプレーしている時も日本代表選手として見られることは誇りに思いますし、その分しっかりやることはやらないといけない。見られているという自覚ももっと芽生えなきゃいけないと思います。そんなに気負いはしないですけど、恥ずかしいプレーをしないようにしたい」
昨季からの改革でそのイメージは薄れつつあるが、マリノスには堅守という伝統があり、歴代の日本代表に背番号と選手が一致するような柱となるセンターバックがいた。4番=井原正巳、5番=小村徳男、3番=松田直樹、22番=中澤佑二といった偉大なレジェンドたちに、畠中は肩を並べる存在になれるだろうか。
「あまりそういうことは意識せず、自分の持ち味を出せたらいいなと思いますけど、やっぱりマリノスのセンターバックというのは代表の顔になるような選手が多かったので、その選手たちに並べるようにこれからも頑張っていきたいなと思います」と語る畠中はまだ23歳だが、その肩にかかる期待は大きい。
日本代表として20試合の出場歴を持つマリノスのDF栗原勇蔵は、「何でもそうだけど、とにかくプレッシャーがかかるし、相手の国には全然知らないFWでもすごく能力の高い選手は多いし、そういう意味ではJリーグとは違うところがあると思う。でも、シンならできる」と猛烈な加速で成長の階段を駆け上がる後輩の背中を押す。
「代表に行って帰ってくると、またこっち(クラブ)で全然楽な気持ちというか、プレッシャーが全然が違うから、(Jリーグで)もっといいプレーができると思うし、それはすごくいいことだと思う。(日本代表の)ベンチで見ていてもそう思うわけで。やっぱりそこでしか味わえないものってたくさんあるから、それは本当に行って味わってもらわないと、言葉では表せないね」
森保ジャパンにおいても畠中ほどの精度でビルドアップに関われるセンターバックは貴重で、今後も戦力として数えているからこそ招集されたはず。彼は日本代表で何を感じ、何を持ち帰ってくるか。約1週間の合宿を終えた後に、見違えるほど進化を遂げた姿になっていることを期待したい。
(取材・文:舩木渉)
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