インテルが仕掛けた罠
インテルは守備時に猛烈なプレスを与え、相手のミスを誘発。高い位置でボールを奪ってはシュートまで繋げ、相手のゴールを脅かす。こうした戦い方を徹底して行っていた。
もちろん、ミランにボールを保持される瞬間は必ず訪れる。自陣へ侵入された際にはどう守るのか。その規律もしっかり守られていた。
カギを握ったのは、ロベルト・ガリアルディーニだ。背番号5はミランのある選手を徹底的にマークし、存在感を消させた。その選手こそ、フランク・ケシエである。
スソとチャルハノールは、基本的に低い位置でボールを受け、そこから攻撃を開始する。もちろんサイドの選手であることから、ゴールまでの距離は決して近いとは言えない。そこでピョンテクに加えゴール前に厚みを増やす役割を担っているのは、実はケシエなのだ。
2列目から一気に前線へ顔を出し、パワフルなプレーとダイナミックなミドルシュートを繰り出してくるこのコートジボワール代表MFをインテルは危険人物としてマーク。ガリアルディーニはピッタリ張り付き、ゴール前への侵入を許さなかった。これによりピョンテクは孤立、スソやチャルハノールはサイドでボールを持つが、サポートの少なさに苦しんでいた。
ルーカス・パケタは執拗なプレスに悪戦苦闘。ケシエはガリアルディーニに消され、シュートを放てない。そこでたまらずティエムエ・バカヨコが攻撃参加してくる。しかし、これもインテルにとっては好都合。バカヨコが飛び出したことにより、ボランチとCBの間にスペースが広がったのだ。
その空間を効果的に使用したのは先制ゴールを挙げたベシーノ。うまくボールを受け、自らシュートへ持ち運んだりパスを散らしたりと、ミラン守備陣を完全に揺さぶった。
インテルの仕掛けた「罠」は試合後のデータにもしっかり表れている。ケシエはシュート数0本に抑えられ、決定的なパスも0本に終わっている。一方でベシーノはシュート数は全体でトップとなる4本放ち、決定的なパスも全体トップの3本繰り出すなど大活躍だった。