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セリエA 6年前

インテルが仕掛けた絶妙な「罠」。ミラノダービーに懸ける想い、勝利で証明した真の強さ

text by 小澤祐作 photo by Getty Images

まさに電光石火の一撃

 一方で心配なのはインテル。リーグ戦では格下相手に勝ち点を取りこぼすといったことも多く、気づけばミランに順位を抜かれ4位にまで後退している。ヨーロッパリーグ(EL)でもフランクフルトに敗れ、あっけなく姿を消した。

 最も深刻なのはエースの不在だ。シーズン序盤は主将としてチームを引っ張っていたマウロ・イカルディだったが、代理人を務める妻のワンダ・ナラの過激な発言等もありクラブとの関係性は悪化。シーズン中には異例とも言える主将の交代を言い渡され、それ以降ピッチ上で彼の姿を見ることはできていない。昨季のセリエA得点王の不在。これはチームに少なからずダメージを与えていた。

 好調のミランVS様々な悩みを抱えるインテル。そんな対照的なチーム同士の対決となった今回のミラノダービー。しかし、試合開始のホイッスルが鳴り響いた瞬間、観る者を驚かせたのはアウェイ・インテルだった。

 立ち上がりから猛烈なプレスをかけ、ミランに圧力を与えたインテルは、高い位置でボールを奪うと手数をかけずに攻撃を組み立てる。ミラン守備陣も懸命に身体を張るが、それもうまく切り抜けた。

 そして試合開始からわずか3分、右サイドでボールを受けたイバン・ペリシッチがクロスを上げると、ファーサイドのラウタロ・マルティネスが頭で中央へ折り返す。これをマティアス・ベシーノが押し込み、あっという間に先制ゴールを奪った。

 このゴールにより、流れは完全にインテルへと傾いた。ミランは、相手の執拗なプレスに耐えきることができず、中盤でミスを連発。前線のピョンテクへも良い形でボールを収めることができず、背番号19は孤立してしまった。

 サイドのハカン・チャルハノールとスソは積極的な仕掛けで相手守備陣を突破しようと試みた。実際、そこまではうまくいく場面もあったが、シュートまで持ち込むことができず、攻撃陣は早くも停滞していた。

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