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Jリーグ 6年前

JFL鈴鹿、男子チームにスペイン人女性監督を。異例の人選が呼ぶ“奇跡”へ、壮大な挑戦が始まる

text by 藤江直人 photo by Naoto Fujie

唯一の不安な点をあげれば…

 今月11日には東京・文京区のJFAハウスで、開幕前の恒例となっているJFL監督会議が開催され、今シーズンを戦う16チームの指揮官が一堂に会した。スーツにネクタイ姿の男性監督がずらりと居並ぶなかで、マルティネス監督は凛とした存在感を放っていた。

「始動から7週間の時間をかけて準備してきたなかで、チームのことを把握できているし、開幕がどんどん楽しみになってきています。私がスペインからもってきた攻撃的なサッカーを展開すると同時に、対戦相手や試合状況によってしっかりと守ることも含めて、いろいろなことを考えながら戦えるチームを作っていきたい。

 相手チームのことをすべて把握していない状況で目標を具体的には言えませんけれども、昇格1年目という状況を考慮すると、6位や7位でもすごくいい成績と言えるんじゃないかと思っています。ただ、順位よりもこのリーグでしっかり戦っていける土台を作れる1年にしたい」

 監督会議の前日には、マルティネス監督は味の素スタジアムにいた。FC東京と戦ったサガン鳥栖のルイス・カレーラス監督やエースのFWフェルナンド・トーレスをはじめ、母国スペインの同胞が大勢集まっているなかで、日本サッカー界に関するさまざまな情報を収集していたという。

「自分が先駆者となって勝利を目指していくことで、女性監督を志している人たちに少しでも勇気というか希望を与えられれば。幸いにも私の場合は来日した初日からクラブや選手たちが、私のことをサポートしてくれているし、リスペクトしてくれていると感じています。唯一の不安な点をあげれば、女性更衣室があるスタジアムとないスタジアムがあることでしょうか」

 不安と言いながらも、マルティネス監督は屈託なく笑う。敵地に乗り込む17日のMIOびわこ滋賀戦から、12月1日まで30試合におよぶ戦いが幕を開ける。日本語に訳せば「奇跡」となる、名前のミラグロスをピッチの内外で具現化していく壮大なチャレンジがいよいよ始まる。

(取材・文:藤江直人)

【了】

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