遠回り6年半…ついにリスタート態勢に
シーズン終了後、質が不足しているCBに超一流を獲得し、層が薄いサイドバックと右ウイングを補強するためにも、目利きのディレクターが必要だ。セリエAの人種差別に辟易としているカリドゥ・クリバリ(ナポリ)がプレミアリーグ移籍を希望しているようだが、彼のエージェントはかなり怪しい。
こうした人物評価がウッドワードは甘く、契約でミスを犯してきた。交渉中の案件を外部に漏らす失態も演じた。仮にウッドワードに権限があったとしても、「あの選手の身辺は再調査する必要があります」と進言できる側近を雇い、強化をコントロールしなければならない。
現場はスールシャールに任せておけば大丈夫だ。しかし、選手の質はシティとリヴァプールを下まわるため、フロントが好アシストで支えなければならない。
これまで、ウッドワードはビッグネームにこだわってきたが、プレミアリーグの若手にも逸材は存在する。右サイドバックならスピード豊かなアーロン・ワン=ビサカ(クリスタルパレス)、あるいは運動量豊富なリカルド・ペレイラ(レスター)。ウェストハムのデクラン・ライスはネマニャ・マティッチの負担を軽減できるMFであり、シティが興味津々と伝えられるルベン・ネービス(ウォルバーハンプトン)を、横取りするプランも爽快だ。
えっ、レアル・マドリーのガレス・ベイルがユナイテッド移籍を希望しているって!? ケガばかりで稼働率が低いにもかかわらず、年俸は20億円オーバー。お引き取り願おう。
6年半ほど遠回りしたものの、ユナイテッドはサー・アレックスのDNAを受け継ぐスールシャール監督により、ようやくリ・スタートの態勢が整った。来シーズンはプレミアリーグ奪還がメインターゲットになる。件の彼には、黙って見守ってもらうことにしよう。力づくでも──。
(文:粕谷秀樹)
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