マネはなぜゴールを量産できる?
さて、この試合で2ゴールを挙げるなど勝利の立役者となったマネ。ここ最近はかなりの好調を維持しており、プレミアリーグでも得点王を狙えるほどの位置にいる。バイエルン戦を合わせれば直近の公式戦10試合で挙げた得点は『10』となっているなど、その活躍ぶりは申し分ない。
この日も5回のドリブル突破を仕掛け、そのすべてを成功させるなど攻撃面で何度もエンジンをかけた。決定的なパスも1回繰り出すなど、左サイド(スタートは右サイドだったが)で別格の輝きを放ったと言えるだろう。
マネが輝ける理由にはやはり駆け引きの上手さがある。典型的なWGタイプの背番号10だが、近年はそこにストライカーのような巧さにも磨きがかかっており、その一つがそれだ。単にサイドから仕掛けるだけでなく、ペナルティエリア内でフィニッシャーのような役割も果たすことができる。もちろん同選手最大の持ち味はスピードということに変わりはないが、こうした新たな巧さが加わったことにより、さらに恐ろしい選手になった。
もう一つ、今季のマネが輝ける理由はサラーの存在だ。昨季のプレミアリーグ得点王だが、今季は激しいマークに遭い、17/18シーズンと同様の活躍を見せられずにいる。
しかしサラーのマークが厳しくなる分、マネにはある程度の自由が与えられる。実際、この日の平均ポジションはサラーよりマネの方が高い位置にいたというデータが出ている。昨季や今季初めの頃であれば、最も高い位置にいたのはほとんどの場合サラーだったことから、ここは明らかに変化していると言えるだろう。そして、よりゴールに近いポジションにいる人間が確実に得点を奪える。その当たり前のようで難しいことをやってのけるマネは、やはり別格の存在だ。
ただ、ここまでの活躍を見せておいて相手チームがマネを放っておくわけがない。サラーと同じく、マークはより一層厳しいものとなるだろう。そうした状況でもゴールネットを揺らし続けることができるのか。今こそ真の実力が問われる時なのかもしれない。
(文:小澤祐作)
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