「まだまだ代表とクラブを掛け持ちできる」
ケガから復帰したものの、香川はこの日もベンチスタート。トップ下にはアデム・リャイッチが陣取り、いきなり先制点を挙げた。その後、1点を返されたものの、元トルコ代表のブラク・ユルマズが2点目をゲット。香川に出番が巡ってきたのは、2-1でリードしていた後半残り15分だった。
シェノール・ギュネシュ監督としては追加点を奪って逃げ切ろうと考えていたはずだが、直後に2-2にされてしまう。そこで香川に課せられられたのは、ベシクタシュを勝利に導く3点目を奪うことだけ。その大仕事を本当に果たしたのが、後半ロスタイムだった。
相手DFを強引なドリブルでかわし、GKの位置を冷静に見ながら左足を一閃。値千金の決勝弾を叩き出し、ここまでの懐疑的な見方を払拭すると同時に、代表復帰を強烈にアピールすることに成功したのだ。
「ギュネシュ監督から求められているのは、点を取ること。自分の役割はチームを勝たせることだと思って入った。それを達成できてよかった」と香川は安堵感をにじませた。その背番号23の非凡な能力を改めて高評価したのが指揮官だ。
「香川は輝かしいキャリアを持つ選手だ。国際的経験が豊富で、試合運びを熟知していて、クオリティの高い選手。僕が言うことは何もないくらいだ。彼はまだまだ代表とクラブを掛け持ちできるし、35歳までは十分、行けると思う。
日本と欧州の長距離移動は確かに短期的なダメージはあるものの、30歳はサッカー選手にとっては悪い年齢ではない。『30歳になったんだからもう引退しろ』というのは正しくない」とトルコ代表監督復帰が決まっている名将は香川の今後の可能性に太鼓判を押した。
そこまで能力を認めながら、ギュネシュ監督はなかなか先発起用に踏み切らない。その理由は技術や戦術眼、経験値の問題ではなく、フィジカル的な問題が大きいようだ。