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スーパースター・ロナウドが見せた別格の存在感。ユベントスが用意したアトレティコ攻略法とは

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

今季こそビッグイヤー獲得なるか

 そして48分の趨勢を五分としたゴールは、相手を戦術の上で完璧にやりこめた上で仕留めた。ロナウドが前線でフェイントを駆使して相手の守備を1枚剥がし、攻撃へのスイッチが入る。スピナッツォーラを走らせて左で流れを作ったのち、素早く繋いでボールを右に回し、何度もサイドから揺さぶりをかける。こうするとA・マドリーの守備は乱れ、ユーベは実に4枚の選手をゴール前に送ることができるようになっている。ここにカンセロからクロスが入り、ロナウドがまたも頭で合わせた。

 A・マドリーのシメオネ監督は前線を3トップに変更し、3バックを敷くユーベの最終ラインにプレッシャーをかけて機能不全を試みる。しかしアレグリ監督は、そこで大胆にもスピナッツォーラを外してパウロ・ディバラを投入するとともに、4バックへ修正する。一度チームの守備の連携が乱れるシーンがあったが、すぐにまとまりを取り戻した。

 そんな選手たちはさらに、時間帯と状況を把握した上で最適な試合運びを進めた。1点を取ろうと前に出てくるA・マドリーに対し、今度は縦一本のカウンターからロナウドにディバラ、そしてマリオ・マンジュキッチに代わって出場したモイゼ・ケーンが次々と縦に出てチャンスを作る。83分にはベルナルデスキが突破を仕掛けてファウルを誘い、ロナウドの3点目となるPKへと繋げた。

 大一番で、今季最高の内容を見せたユベントス。正直1stレグ、いやもっと言えば2月以降、ユベントスはさえない内容のゲームをずっと続けていた。しかしこの崖っぷちで、これまでの悪い印象を一気に払拭するパフォーマンスを披露。試合を支配し、アグレッシブにパスを回して攻め続け、ロナウドにボールを集めて点を取る。

「これがチャンピオンズにふさわしいメンタリティーだ」と彼はTVのインタビューで語ったが、CLの頂点を狙うに値する納得の試合運びができた、ということなのだろう。

 ロナウド加入以降、チームとしての完成形をこの試合で見せられた印象もする。ユーベが決勝に進んだ16/17シーズンのCLでも、ユベントスは勝ち進むごとに完成度を高めた。今回も同じ流れで決勝へと駒を進め、今季こそビッグイアー獲得となるか。

(文:神尾光臣【イタリア】)

【了】

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