選手放出も視野に
個人的には、PSGの実質的な権限を握るカタール国のタミーム・ビン・ハマド・アール=サーニー首長の右腕であり、フランスリーグはもちろん、UEFAのクラブ代表委員としても要職にも就いている外交手腕に優れたアル・ケライフィ氏を解任するのは、カタール勢が撤退する時ではないかと思っている。
むしろ首が危ないのはスポーツ・ディレクター、アンテロ・エンリケだ。昨シーズンを最後にチアゴ・モッタが引退した後、その後任を獲得できていないことにもトゥヘル監督は不満を感じている。
『カンプ・ノウの悲劇』の後は、当時のスポーツ・ダイレクター、オリヴィエ・レタン(現レンヌ会長)は解任、フットボール・ダイレクターのパトリック・クライファートもクラブを去った。それでなくても首の噂が絶えないエンリケが、お払い箱になる可能性は十分にある。
一方、トゥヘル解任説は噴出しておらず、当初の2年契約を、2022年まで延長する話も出ていて、本人も「長期的な視野でPSGを率いたい」と前向きだ。今季のPSGは、トゥヘルでダメだったのなら、他のどの監督でも先には進めなかった。それだけトゥへルはこのチームをうまくまとめている。
昨シーズンの強烈なバッシングに辟易してやる気をなくしていたネイマールにふたたび息を吹き込み、アンヘル・ディ・マリアを主力に引き上げ、彼らや寵児エムバペの影になりそうなエディンソン・カバーニのケアも怠らず、若手にもチャンスを与えている。
代わってあらためて焦点になっているのは、選手の放出だ。ラウンド16敗退決定で、PSGは準々決勝に進んでいたら手に入っていたはずの成績給1050万ユーロ(約13億円)を失った。それに付随する放映権料なども含めると、“あてが外れた”額は大きい。
となると、ファイナンシャルフェアプレー(FFP)の審査対象となる6月30日までに選手を何人か放出する必要があるというわけだ。ネイマールについては、会長が「移籍は2000%ありえない」と話し、エムバペも「この試合の結果が自分の状況を変えることはない」とテレビ局TF1でのインタビューで語っている。