変化を加えるエジルの頭脳
ジャカは攻守両面で存在感を放つなど素晴らしい出来でチームを勝利に導いた。ラカゼットやオーバメヤンも前線で見事な働きぶりだったと言うべきだろう。だが、この日最も輝きを放ったのはエジルかもしれない。
エメリ新監督の下、なかなか出番が訪れなかった元ドイツ代表MFだが、やはりピッチに立てば違いを生める選手だ。その才能と頭の良さは今なお健在。CL出場を狙うアーセナルにとっては必要な駒であることに間違いはなく、今後もカギを握る存在であることは事実だ。
先に述べた通り、エジルは相手のボランチとCBの間にポジショニングし、ボールを引き出してはキープし、パスを散らすという役割を完遂。ただ単純に速い攻撃を仕掛けるのではなく、より攻撃に厚みが加わったときに一気に崩しにかかる。こうしたサッカーを展開するのに、キープ力、パススキルの高さを兼ね備えるエジルは不可欠な存在だったと言えるだろう。
同選手はこの日、全体でトップとなる4本もの決定的なパスを繰り出している。パス成功率は途中出場のデニス・スアレスを除けば全体でトップとなる91%を記録。エジルの持ち味は最大限発揮されていたと見るべきだ。
守備はあまり得意ではないが、下手ではないのも事実。マンチェスター・U戦でも果敢にボールホルダーへ身体を寄せ、相手に自由を与えない。ピッチをかなり走り回っていた印象だ。
エジルの頭脳的なプレーは、アーセナルに面白い変化を加える。今後、チームとしてそうした部分が成熟すれば、クラブは更なる高みを目指せるはずだ。
まだリーグ戦は残されており、CL出場権獲得も決まったわけではない。ここからはより一層集中した戦いが求められる。そこで果たしてエメリ監督は、エジルを起用し続けるのか。
(文:小澤祐作)
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