341対1670
経験値の低さなど、彼らにとっては取るに足らない問題だった。下部カテゴリー時代から積み上げてきたスタイルを武器に、大分トリニータは日本最高峰の舞台で旋風を巻き起こそうとしている。
明治安田生命J1リーグ第3節、ヤマハスタジアム。6年ぶりにJ1復帰を果たした大分は、アウェイの地でジュビロ磐田を2-1で破った。90分間、やるべきことを実践し続け、意図した形で2ゴールを奪取。開幕戦でアジア王者・鹿島アントラーズを撃破しているが、この日も丁寧で躍動感溢れるサッカーを披露した。
大分はエースストライカーの藤本憲明を筆頭にJ1初挑戦の選手が多い。試合前に配布されるメンバーリストを見ても、今季出場数と通算のそれが同じという選手が5人。ベンチメンバーを含めた18人の合計は341試合だった。
一方で磐田は計1,670で、100試合以上の選手は4人。特に大久保嘉人が430試合、控えの中村俊輔も385試合と経験豊富な猛者が揃う。
J1における場数という点で大分は圧倒的に劣勢だが、勝ち点3を獲得したのはそんなフレッシュな集団だった。その戦いぶりからは、J1の舞台に臆する様子など微塵も感じらなかった。
この試合では、相手に退場者が出たことで前半のうちに大分が一人多い状況となった。とはいえ、数の上では有利となっても逆にバランスが崩れる危険性もある。そんな中でも彼らは変に意識することなく、同点とされても慌てず戦いに集中した。そして、奪った2得点はいずれもサイドからのクロスがきっかけで、大分のスタイルを示すものだ。チームは試合開始から終了まで、自分たちの狙った形を出せるようにプレーしていた。