負傷に阻まれた飛躍
それでも彼はバルサ残留を選択。1年プレーして、翌シーズンからトップチームへの正式昇格を目指すことにした。ところが迎えた2016/17シーズン、またもルイス・エンリケ監督の信頼を得ることができず、トップ昇格の手続きをしたうえで1部のグラナダへ期限付き移籍することとなった。
初めての1部リーグではシーズン中盤にレギュラーとして起用され、22試合に出場した。結局最下位での2部降格を阻止するほどの活躍を見せることはできなかったが、バルサでのトップチーム入りを目指すサンペールにとっては1部での手応えを掴んだ1年になったはずだ。
そして翌2017/18シーズンはラス・パルマスへ。しかし、ここでは怪我という困難が若者を襲う。序盤戦は筋肉系の故障に悩まされ、2018年1月のエイバル戦では左足首の内側側副じん帯断裂と腓骨骨折という重傷を負ってしまう。
これによってレンタルを途中で打ち切ってバルサに復帰し、懸命なリハビリの末に今夏ようやく実戦復帰を果たす。ただ、復帰直前にも膝や足首に短期間の負傷を重ねており、極めつけは2018年10月31日に行われたコパ・デル・レイのクルトゥラル・レオネサ戦での出来事だった。
サンペールは背番号16を着けて初めてバルサのトップチームでの公式戦に先発起用された。そして同時に「ラストチャンス」でもあると見られていた。今季はそれまで一度もベンチ入りがなく、実質的に戦力外状態だったため、レオネサ戦でアピールできなければバルサでの未来は暗いものになると。
すると前半途中で右足ふくらはぎに痛みを訴えてプレー続行不可能に。わずか33分間で交代を余儀なくされた。やはり相当な思いを持ってこの試合に臨んでいたことを物語るかのように、ベンチで号泣していた姿は印象的だった。
右ふくらはぎの負傷は全治1ヶ月ほどと診断され、現在は試合にこそ絡んでいないもののプレーできる状態には戻っていると見られる。そこで彼は大きな決断を下した。6歳から過ごしたバルサとの契約を自らの意思で解除し、日本に新天地を求めた。