相手につかまらないのでパワーの有無は影響しない
専修大学で「大学最高のアタッカー」といわれた仲川は50メートルを5秒台で走るという。身長161cmはJリーガーでは最も小柄な部類だろう。サッカーに体の大きさはあまり関係がないが、パワーが武器にならない以上、小さな選手にはそれに代わる武器が必要だ。仲川にはスピードがあった。速さはサッカーで決定的なアドバンテージになる。
三好を追い越していくときの「70パーセント」でも十分速かった。さらにクッとギアを入れられたのでマークしていた選手は完全に振り切られてしまった。相手が速いと感じる段階でまだ余力を残していた。
デンマーク人唯一のバロンドール受賞者(1977年)、アラン・シモンセンは公称165cmだが、それより小さかったかもしれない。体重も60kgに満たず、軽量という点でも仲川と変わらない体型だった。やはり武器はスピードとテクニック、疾風のようにペナルティーエリアへ突入し、ボルシアMGとバルセロナで多くのゴールをあげた。
リオネル・メッシもそうだが、小さなスピードスターは緩急のつけ方が上手い。急加速で振り切るかと思うと、一瞬減速し、直後にもっと速くなる。あっと思ったときは完全に手遅れ。つかまらないのでパワーの有無は影響しない。
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