「難なくこなしていた」。指揮官は満足
リベロならば左右のストッパー、藤井悠太とカルフィン・ヨン・ア・ピンを上手く動かしながら、経験に裏打ちされた読みを駆使してカバーリングを行い、マイボールにするや、前線へ正確なフィードを供給する及第点のプレーを何とか演じ続けた。失点はセットプレーで喫したものだった。
これが4バックの右サイドバックになると、練習試合でも一度もプレーしていない、文字通りの未体験ゾーンとなる。松井自身も「よくわからなかった」と苦笑いを浮かべたが、タヴァレス監督は「難なくこなしていた」と問題がなかったと強調している。
「もちろんマラドーナほど上手くはなかったが、逆に酷く悪かったとも思っていない。テクニックの面で言えば、松井は横浜FCで一番の選手であり、特にビルドアップの部分でチームを助けてくれた」
栃木SCのホーム、栃木県グリーンスタジアムに乗り込む10日の第3節からは田代が復帰する。ならば、松井のリベロ起用は応急処置なのか。あるいは、チームの新たなオプションとなりうるのか。松井をリベロに抜擢した意図と評価に続く、2つ目の質問が実はこれだった。
「そういうこと(オプション)も考えられる。松井はどのポジションをやらせても、ポジションごとにどのような仕事をしなければいけないのかを理解できる選手だ。本当に使いやすいというか、頭のいい選手だと思っている」
続いて切り出した逆質問で、メディアから及第点なる評価を引き出したことで満足したのか。こんな言葉で締めている。
「自分のチョイスは、特に問題はなかったということでしょうか。アリガトウ」
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