「楽しみにしてたけど、天国から地獄に落とされた」
「僕なんかぶち抜かれて入れられてるわけで、それはもう個人の対応のミス。日本やったら僕は下がらずに止めに行ってファウルになるんですけど、このレベルでそれが通用しないから、同じ速度で一緒に下がっていって対応するつもりだったけど、途中からグッと加速してきた。
左サイドバックの(フォーランド・)メンディもそうやけど、あのスピードとアジリティは日本にはない。リヨンとの試合をすごい楽しみにしてたけど、天国から地獄に落とされた。こんなに早く終わってほしいと思ったのも初めてやった」と昌子は激しいショックを受けていた。
その2日後の5日。トゥールーズの練習場で本人を直撃した。10日の次戦は最下位の、アン・アヴァン・ギャンガンとのホームゲーム。ここは絶対に勝ち点3を取らなければリーグアン残留が危うくなる。
それだけに指揮官も気合を入れて新たな1週間をスタートさせると思われたが、この日は20分間のランニングのみで終了。自主的に筋トレをこなして現れた昌子はまだリヨン戦の悔しさを引きずっていた。
「(ロシアの)ベルギー戦の時は夜も寝れなかったんですよ。リヨン戦の時はまあ寝れたけど、なんかすげえ悔しくて、どうやったらデンベレとの1対1を止められるのかとというのをずっと頭の中で考えてましたね。彼と体がぶつかった時には『ああ、岩やな』と(苦笑)。『岩』っていう表現が一番正しいかもしれない」と2日が経ってもまだアドレナリンが出続けている様子だった。
昌子はこれまで積み重ねてきたセオリー通りに構えながら寄せていき、相手と並行して走り、最終的にシュートブロックをしようとした。が、フランスの他のDFは早い段階でスライディングタックルをお見舞いする。そこが大きな価値観の違いだと彼はデンベレとの対峙で気づいたようだ。