大邸の知られざる日本人選手・西翼とは?
本田圭佑を止めたのは無名と言っていい選手だった。
AFCチャンピオンズリーグ(以下ACL)2019初戦、メルボルン・ビクトリー対大邸FC。1-1で迎えた後半、メンバー表に「TSUBASA NISHI」と書かれた選手が投入された。TSUBASA NISHIこと西翼の入った大邸は見違えるようにプレーの質が良くなり、2点を追加。メルボルンに逆転勝利した。
1990年生まれの西はJリーグでのプレー経験がない。専修大学を卒業後の2013年、ポーランドへと渡り、当時4部のKSグバルディア・コシャリンに加入。以降ポーランド国内のクラブを転々とするが、一部でのプレー機会はなし。昨年6月、大邸へと移籍した。大学時代は関東大学サッカーリーグで優勝していることから、知る人ぞ知る選手ではあるが、やはり知名度は高くない。
試合はホームのメルボルン優勢で進んでいた。本田を中心とした攻撃は大邸を押し込み、何度もチャンスを作る。先制点も本田が起点だった。本田が右のコスタ・バルバルセスに展開すると、中央へ折り返し、オラ・トイボネンが押し込んだ。大邸もすぐに同点弾を入れるが、ブラジル人FWコンビによる個人技でもぎとったもので、チームとしては攻撃の形がままならない状態だった。
そこで投入されたのが西だった。「前半あまりうち(大邸)がボール持てなかった。もっとボールを持って、もっと散らして、うちがキープする時間を作る。そんな役割で入りました」と西は試合を振り返る。
後半、試合展開はガラリと変わる。西の起用が当たったのだ。