攻守で輝いた前線の3人

　勝因の1つが前線で輝いた「魅惑のトライアングル」の存在だ。この日は1トップ2シャドーでなく、鈴木とアンデルソン・ロペスが2トップ気味に並び、トップ下にチャナティップが入った。守備では前の2人が相手3バックにプレッシャーをかけ、チャナティップが浦和のアンカーMFエヴェルトンを見る。この形が機能して、ホームチームはボールを前に運ぶことすら難しい時間帯もあった。

　そして、このシステムのもう1つの肝がボールを奪った後だった。「相手の攻撃を限定できただけでなく、我々がボールを奪った後にも前に3人の選手がいるので、すぐに前につけることができた。守備から攻撃の狙いがうまくはまった」と指揮官。攻守一体の策が完璧に機能した。

　敗れた前節・湘南ベルマーレ戦から前3人の組み合わせを変更。強さと高さが特徴のFWジェイに代わり、速さが最大の持ち味の鈴木を先発起用した。これにより前線の機動性と流動性が上昇し、浦和の守備陣がマークにつききれない場面が散見した。

　この日も的確なパスで攻撃を後ろから支えた福森晃斗は、新たな組み合わせに大きな手ごたえを感じていた。「武蔵に関しては裏に抜け出すスピードとタイミングが持ち味だと思いますし、自分がボールを持って顔を上げると動き出してくれるのでやりやすいです」と2得点の新加入FWの良さをあげた。

　また、他の頼もしい2人の仲間についても言及。「ロペスもしっかりボールが収まりますし、その後のキープ力と展開力はピカイチだと思います。そういうとこもうまくはまっているのかな。チャナは去年からも分かるようにドリブルや相手の嫌がることをできる。その3人がいいコンビネーションでできていたので、新しい札幌のサッカーというのを見せられたのかなと思います」。新加入選手も入って新たな化学反応が起き、さらにチームは大きく前進した。