「1つ1つ全力で向かう気持ちでいますね」
「カタールに対するプレスがはまらなかった? なかなか変えようと思っても簡単にポンと変えられるものでもないですし、そこに気づいて変えるだけの余裕がある選手がどれだけいたかというところかなと。僕自身は正直そこまでの余裕はなかった。まだまだかなと思います」と1ヵ月前のファイナルで苦杯を喫した後、20歳の大型DFは自らの経験不足を痛感した。
それを埋めていくためには、クラブでの日常をより有意義なものにしていくしかない。その思いを彼はこの1カ月間のリーグ戦でダイレクトに出している。クラブ・ブルージュ戦の冨安も相手を止めるためにさまざまなトライを繰り返し、自分の引き出しや器を増やそうと躍起になっている様子だった。
「アジアで優勝してないですし、1人1人がチームに戻って成長しないといけないわけで。それぞれのチームの目標のために全力でやることが自分の成長につながると思うし、今はプレーオフ1に向けてという意識でやるしかない。1試合1試合ホントに落とせない試合が続くんで、1つ1つ全力で向かう気持ちでいますね」と眼光鋭い表情で語った20歳の大型DFの目指すところは、プレーオフ1進出と、その先のタイトルだ。
UEFAチャンピオンズリーグやヨーロッパカップの出場権を手に入れることができれば、彼自身のキャリアもSTVVの今後も大きく変わってくるだろう。
輝ける未来を引き寄せるために、冨安健洋は今日も明日も全力で走り続け、DFとしての戦術眼や対応力に磨きをかけていくはずだ。
(取材・文:元川悦子【シント=トロイデン】)
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