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Jリーグ 6年前

階級が違いすぎる。名古屋FWジョーは「反則級」。“水と油”のチームで無敵になるまで【西部の目】

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

減量で手にした新たな武器

「大きなストライカーは、監督としての挑戦だった」(名古屋・風間八宏監督)

 川崎フロンターレを率いていたときのストライカーは大久保嘉人や小林悠だった。いずれもサイズ感を前面に押し出すタイプではない。風間監督の指導もゴール前で「外す」ことがメインであり、サイズとは無関係に得点する方法を教えていた。

 ゴール前でDFを「外す」。DFの動きの方向と、自分の方向をずらす。それによって瞬間的にせよフリーになれる。フリーなので体格は関係がない。体格に恵まれないFWや、国際試合で大きなDFと戦わなくてはならない日本人にとっては福音のような極意だ。

 しかし、コリンチャンス優勝の原動力となり、MVPも獲得したジョーは風間理論を必要としないタイプの選手だった。DFを「外す」こともなく、まともにマークされたままでフィジカルコンタクトを迎撃し、リーチの長さで機先を制し、パワーで破壊する。

 名古屋に来た当初、練習中のジョーは自分の大きさを持てあましているようにみえた。中学生の中に大人が混ざっているようなサイズの差。フルパワーでやってチームメートにケガをさせてはいけないと気を遣っているようにさえみえた。

 大きいわりには器用で、その点では風間監督のスタイルの中でもやっていけそうだったが、それではジョーを連れてきた意味がない。ワールドカップによる中断まで、ジョーは宝の持ち腐れになりそうな雰囲気さえ漂っていた。

 だが、中断後のジョーは変わっていた。アドバンテージの1つであるはずの体重を7キロほど落とし、いわば階級を1つ下げている。階級差で威圧するのではなく、階級を落としたことで新たな武器を手にしていた。

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