ジョルジーニョの貢献度
最も変化が見られたのは守備の対応だったかもしれない。ダビド・ルイスやアントニオ・リュディガーの2CBのパフォーマンスも見事だったが、ジョルジーニョのディフェンスへの意識は明らかに向上していた。
サッリ・チェルシーにおける攻撃の要であるジョルジーニョは、持ち味のパススキルを駆使し、これまで数々の決定機を演出してきた。一方で守備時は少し甘い部分が見られ、ディフェンス面の対応は改善が求められていた。マンチェスター・UのOBであるリオ・ファーディナンド氏もこの点について話していたことがある。
しかしトッテナム戦ではエリクセンの存在を消し、攻守の切り替えも素早く行っては何度もチームを救った。
データサイト『Who Scored』によると、この日のジョルジーニョはタックル成功数6回で全体トップ、インターセプトも4回記録しており、こちらも全体のトップに躍り出た。これまで同選手がこうしたデータを残すことはあまりなかったが、マークが激しくなり攻撃面で存在感を出すのが難しくなったジョルジーニョに芽生えた気持ちの変化なのかもしれない。
これまでのチェルシーはジョルジーニョの脇をうまく攻略され、崩されてしまうといったことも多かったが、トッテナム戦ではカンテ、マテオ・コバチッチらがそうした部分にしっかりと蓋をし、簡単に相手を侵入させなかった。
ジョルジーニョにとっては自らがカバーしきれないエリアをしっかりとサポートをしてくれる存在がいるからこそ、守備の対応がしやすくなったという面はあるかもしれない。いずれにしても、ここはチェルシーに芽生えた一つの変化だ。
トッテナム戦に勝利したことにより、サッリの解任は一度お預けという形にはなるだろう。しかし、今後もサッリ監督に関するニュースは頻繁に目にすることになるはず。ただ、同指揮官をここで切るのはまだ早い。変化が生まれたチェルシーには少し希望が持てそうだからだ。
(文:小澤祐作)
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