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Jリーグ 6年前

桐光学園の逸材、西川潤をちょっぴり“大人”にしたひと冬の経験。「2年生10番」が上がる成長の階段

text by 藤江直人 photo by Getty Images

西川はなぜ、歓迎されない存在だったのか?

 セカンドチームには選手数の上限が設けられていたことを、西川はほどなくして知った。たとえ練習生という身分でも、ルールは厳格に適用される。つまり、10日間ほどのスケジュールとはいえ、西川が練習に参加すれば誰か一人が弾き出されることになる。

喜怒哀楽を共有しながら、レバークーゼンのトップチームでプレーする夢を追いかけ続けてきた仲間が、実力以外の理由で突如として道を閉ざされてしまった。行き場のない怒りにも似た無念さは、瞬く間に西川に対する憎悪感へと変わっていった。

「最初は本当にひどかったというか、精神的にきつかった。グループごとに固まっていて、こちらから話しかけることもできない雰囲気があった。自分(がいる場所)はない、という感じだったので」

 実際に練習がスタートすると、西川が覚えた疎外感はさらに顕著になっていった。たとえば実戦形式のメニューでは、フリーのポジションを取っていてもいっこうにパスが回ってこない。自身の存在を認識しているはずなのに、チームメイトたちからあからさまに無視される。

 だからといって落ち込んでいる時間はないし、状況を甘んじて受け入れるわけにもいかない。どうすれば彼らの視線を変えることができるのか。自問自答を繰り返しているうちに、それまで見たことのない自分が頭をもたげてきていることに西川は気がついた。

「自分から積極的に溶け込んで、メッセージを発信していかないとやっていけないと、向こうへ行って強く感じました。自分はドイツ語をしゃべれないので(ゼスチャーで)要求するとか、プレーで見せながらやっていくしかなかった。日本では味わえないことばかりでした」

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