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チェルシーはまた愚行を繰り返すのか。監督解任を続ける諸悪の根源とは?【粕谷秀樹のプレミア一刀両断】

シリーズ:粕谷秀樹のプレミア一刀両断 text by 粕谷秀樹 photo by Getty Images

粕谷氏が提言する再建プランとは?

 チェルシーを買収してから17年、アブラモヴィッチは監督に対して不誠実だった。解雇する際はひと言も感謝を述べず、グラノフスカヤをはじめとする側近を通じて言い渡してきた。あのアンチェロッティでさえ、プレミアリーグとFAカップを制した翌年(10-11シーズン)に解雇されている。

 優勝したマンチェスター・ユナイテッドと9ポイント差の2位に終わったといっても、オーナー主導で獲得したフェルナンド・トーレスの不振はあまりにも痛かった。フランク・ランパードやディディエ・ドログバ、ジョン・テリーといった主力が、負傷のために長期の戦線離脱を余儀なくされたことも大きすぎるダメージだった。

 それでもアブラモヴィッチは結果だけで判断し、アンチェロッティは大人の振る舞いで現実を受け入れた。後任はアンドレ・ビラス=ボアス。不遜な物言いが選手の不評を買い、わずか8か月で解雇されている。

 さて、この際だ。一度《野に下る》覚悟も必要ではないだろうか。補強禁止処分が適用される二年間で土台を築き、サッリボールに磨きをかける。スター選手でも30代の選手との契約にはこだわらず、若手・中堅のローンバックで刷新を図る。いままでとは異なるプランで再建の道を模索するべきだ。

 イーサン・アンパドゥ、カラム・ハドソン=オドイ、ローン先のアストン・ビラで20ゴールを決めているタミー・エイブラハムなど、チェルシーにはダイヤの原石も少なくない。

 求心力の低下は気になるものの、サッリはセリエAで実績を積み、その手腕はグアルディオラが、クロップが、多くの監督が認めるところだ。

 えっ、頑固すぎるって? いや、わずか1シーズンで見切りをつけるのなら、負の歴史を繰り返すだけだ。いまアブラモヴィッチに求められるものは辛抱強さと、継続性の認識である。

(文:粕谷秀樹)

【了】

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