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チェルシーはまた愚行を繰り返すのか。監督解任を続ける諸悪の根源とは?【粕谷秀樹のプレミア一刀両断】

シリーズ:粕谷秀樹のプレミア一刀両断 text by 粕谷秀樹 photo by Getty Images

堪え性の無いチーム。数々の名将が餌食に

マリアナ・グラノフスカヤ
写真右がチェルシーの実質的CEOであるマリアナ・グラノフスカヤ【写真:Getty Images】

 当然、彼らはグラノフスカヤに訴える。前述したように、彼女は選手の意見を鵜呑みにする。メディアに露見するサッリに対する選手の不満も、グラノフスカヤと側近のリークに違いない。

 なぜ、監督の意見を聞かないのだろうか。サッリの発言が間違っていたとしても、実質的なCEOであるならば双方の話を聞いて着地点を見いだすべきだ。選手だけにいい顔をして、サッリとは話し合いの場すら設けようとしない。問題解決は先延ばしになるだけだ。

 マンチェスター・シティとのリーグカップ決勝で、サッリとGKケパ・アリサバラガは交代を巡って揉めに揉めたが、グラノフスカヤはまたしても選手側に立つのだろうか。監督の求心力が失われていくばかりだ。

 それにしても、チェルシーは堪え性がないクラブだ。2003年にアブラモヴィッチが買収した後、2シーズン以上持ちこたえた監督はジョゼ・モウリーニョとカルロ・アンチェロッティだけだ。ブラジル代表の指揮官を務めたルイス・フェリペ・スコラーリでさえ主力との政争に敗れ、約7か月で去っていった。

 暫定体制が5回もある。組織としていかがなものか。しかも近ごろはシティが急成長し、リヴァプールの復活も著しい。マンチェスター・ユナイテッドにさえ気を付けていればいい時代は、とっくの昔に終わっている。競合が多くなったいま、「答が出ませんでした、はい次の方」は通用しない。

 監督を軽んじ、その場しのぎの人事を続ける限り、チェルシーは真のステイタスを得られない。ブランドイメージはユナイテッドやリヴァプールに劣り、経済力でシティを下まわるのだから、組織の創り方を改めるべきだ。

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