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チェルシーはまた愚行を繰り返すのか。監督解任を続ける諸悪の根源とは?【粕谷秀樹のプレミア一刀両断】

チェルシーにまたも監督解任論が噴出している。今季から指揮を執るマウリツィオ・サッリ監督は、シーズン当初こそ期待感を持たれていたが、試合を重ねるごとに懐疑的な目が強まり、リーグカップ決勝では選手との軋轢も表面化した。またも1シーズン持たずに解任される可能性が報じられているが、この安定感が皆無とも言えるチームの最大の問題はどこにあるのか。(文:粕谷秀樹)

シリーズ:粕谷秀樹のプレミア一刀両断 text by 粕谷秀樹 photo by Getty Images

監督を追い詰めていくCEOの存在

マウリツィオ・サッリ
成績不振による解任の噂が絶えないマウリツィオ・サッリ監督【写真:Getty Images】

 うまくいっていないという話は、何年も前から耳にしていた。この組織は2000年代前半から複数の派閥が勢力争いを繰り返し、ロッカールームは常に緊張感が充満しているという。それでもチャンピオンズリーグを制したり、プレミアリーグでも優勝したり、実績を残してきた。内部のゴタゴタがエネルギーに昇華されるのなら問題はない。

 ただ、直近5シーズンで二度もプレミアリーグの頂点に立ちながら、チャンピオンズリーグの出場権も同じ数だけ逸している。ジョゼ・モウリーニョ、アントニオ・コンテといった名将がその座を追われ、今シーズンもマウリツィオ・サッリ監督の立場が危うくなってきた。

 不思議なことに、チェルシーの監督には強化の権限が与えられていない。それどころか、オーナーのロマン・アブラモヴィッチと話し合えもしない。基本的にはマリアナ・グラノフスカヤ(実質的なCEO)が全権を掌握し、人事を進めていく。

 ただし、ロッカールームの対立を収める際は選手側につき、監督を追い詰めていくのが彼女の手法だ。コンテ前監督も「グラノフスカヤは聞く耳を持っていない」と、複数のメディアにこぼしていた。

 いま、サッリと選手間にただならぬ緊張感が充満していることは、読者の皆さんもご存知だろう。

「追いつかれたり、アドバンテージを奪われたりすると、瞬く間に平常心を失う。こうした問題を解決する手段を私は持っていない」

 サッリの発言が選手たちのプライドを妙な形で刺激したのだから、どちらに非があるかは明白だ。プレミアリーグのプレー強度についていけないジョルジーニョに固執する人選も、他の選手のモチベーション低下を招いている。

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