「何よりも守備の部分で寄せられる信頼がすごく大事」
もっとも、昨シーズンまでの久保に見られなかった項目は、39分に訪れた場面に凝縮されている。ドリブルで縦へ進むDF車屋紳太郎を必死に追走した久保が、激しいデュエルを繰り広げながら、自陣の中央で体を食い込ませながらボールを奪取。すぐに前を向いて、カウンターを発動させた。
「何て言うんですかね……他の選手たちもああやって体を張って守っていますし、変な目で(自分を)見ずに、ボールを取った、というくらいに思っていただければ幸いです」
チームの一員として当たり前のことをしただけという意識が、ちょっぴり苦笑いを浮かべながら発した言葉を生み出したのだろう。スタンドで観戦していた大金社長は、久保から聞かされた「絶対にチームのためにやれます」という言葉の真意を、あらためて噛みしめていた。
「マリノスでプレーしていたときよりも明らかに変わっていますし、この1ヵ月間のキャンプでさらに大きく変わっていますよね。いままでは止まるというか、試合の流れから少し消えるところがあったんですけど、今日はまったくそんなところがなく、攻守の切り替えも非常に速かった。
何よりも守備の部分で、チームから寄せられる信頼がすごく大事だということを学び、実践できるようになった。マリノスで半年プレーしてから帰ってきて活躍してほしい、というのが私たちの望みでした。彼自身も『成長した姿を見せたい』と思っていたはずだし、今日の感じでは戦力として十分に貢献してくれると思っています」