指揮官の精神が反映されたパフォーマンス
「今までは1点取ったあと相手に押し込まれてしまって、それを必死で耐え抜いて勝ち点3を獲得するということが何度もありました」と山根は語る。
「それだけでは厳しいので、相手が前に人数をかけてきた時には攻めてもう1点取れるように頑張りました。そこは今年取り組みたいと思っている部分なので、今日はうまくいって良かったと思います」
87分に山﨑凌吾が1対1の絶好のチャンスを逃しても、湘南はその前向きなスタンスを曲げることなく人数をかけて攻め続け、その3分後には武富が12ヤードの位置から綺麗に決めて決定的な2点目をもぎ取った。
「まだシーズン初日ですが、他のチームと比べても僕らはかなり走れると思います」と山根は付け加えた。
「どう頭を使うかも大事です。その点で僕らはどのチームにも負けることはないと思います」
もちろん、初戦の勝利で浮かれてしまわないことは大事だろう。だが湘南の戦いぶりには監督の要求する精神が反映され、フレッシュさと前向きな姿勢が感じられた。
「色々と細かいことは置いておいて、とにかくサッカーをプレーすることだけに専念するよう言われています」と武富は、曹貴裁監督がチームに与えているアドバイスを教えてくれた。
「選手はひとつになって勝利を目指し、全てを出し切ってプレーする必要があります。それがベルマーレにとって一番大事なことだと思いますし、誰一人気を抜くわけにはいきません。一緒に頑張って、戦術に囚われすぎず、できるだけ試合に夢中になるべきだということです」
札幌戦ではそれを最大限に実行することができた。シーズンが進んでいく中で、このレベルのパフォーマンスを維持することができれば、“湘南スタイル”は今季の大きなトレンドとなるかもしれない。
(取材・文:ショーン・キャロル)
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