サイドバックは攻撃だけじゃない
マリノスのようにサイドバックがボランチのような位置まで絞り、積極的に攻撃に絡んでいくスタイルの場合、そこではボールを失った際のカウンターの防壁としての役割も求められる。90分間ボールを支配し続けることはできず、必ず攻守の切り替わりの場面があるわけで、その「攻→守」の局面でのポジショニングが非常に重要になる。
もし的確な位置に立てていれば、相手はゴールへの最短経路のカウンターを選択した際にインターセプトやこぼれ球の回収が狙える。仮に押し込まれた状態でも1対1の守備対応で上回れれば失点の可能性を減らせる。そういったプレーのスタッツは、昨季と今季開幕戦の比較で明らかな向上が見られた。
松原は昨季、リーグ戦90分平均で3.84回のインターセプト、9.03回のボールリカバリー、1.72回のクリアがあった。一方、今季開幕戦に同じ右サイドバックで先発した広瀬は90分平均で6.43回のインターセプト、12.86回のボールリカバリー、3.67回のクリアを記録している。
(広瀬はガンバとの開幕戦で前後半のアディショナルタイムも合わせて98分間ピッチに立っていたため、比較用に90分平均を算出した。98分間ではインターセプト7回、ボールリカバリー14回、クリア4回となる)
一方、昨季マリノスの左サイドで躍動した山中は、同じデータで90分平均にするとインターセプト3.21回、ボールリカバリー5.72回、クリア0.98回となる。彼に代わって2019年の初戦の左サイドバックを託された高野は、ガンバ戦の90分平均でインターセプト5.51回、ボールリカバリー8.27回、クリア6.43回だった。
(高野も広瀬同様98分間の数字に直すと、インターセプト6回、ボールリカバリー9回、クリア7回となる)
守備時のこういったデータの向上は、攻撃面にも好影響を与えるだろう。ボールを失った後に即座に奪い返せる状況を多く作れれば、連続した攻撃も可能になる。相手をハーフコートに押し込んでの波状攻撃を繰り出せれば、それだけシュートチャンスも増えていくはずだ。