熾烈なレギュラー争いで…
「今年は誰が出ても同じサッカーができる」
その自信は嘘ではなかった。今年の横浜F・マリノスは一味違うかもしれない。アンジェ・ポステコグルー監督が持ち込んだアタッキング・フットボールの習得に苦しんだ2018年を経て、成熟した既存戦力と、戦術的な要求を満たせる新戦力との融合は思ったよりも早く進んでいる。
23日に行われた2019シーズンのJ1リーグ開幕戦。開始40秒ほどで失点する驚きもありながら、その後はマリノスが終始試合の主導権を握ってガンバ大阪に3-2で勝利を収めた。指揮官も「すごく良い運び方をして、良い試合ができた」と満足げだった。
今年は明確な補強方針のもと、各ポジションに実力が拮抗した2人ないし3人を配置することに成功している。それもあってチーム内の競争は激しさを増しているが、早くも開幕戦から新戦力たちが自らの価値を示した。
先発メンバーには新加入選手が5人。さらに昨季は散発的な出場で悔しさを味わった選手たちも入り、ポステコグルー体制1年目のレギュラークラスの多くがベンチに座ることとなった。それでも「マリノスらしい」、昨季と変わらないスタイルを披露できたことで大きな自信をつかんだはずだ。
川崎フロンターレからレンタルで加入した三好康児は左足でスーパーなミドルシュートを突き刺し、海外でも鮮烈な一撃が話題を呼んだ。エジガル・ジュニオもストライカーとしての能力の高さだけでなく、守備面での献身性などポテンシャルの高さを示した。
そして特筆すべきは両サイドバックの2人だ。右サイドに入ったのは徳島ヴォルティスから加入した広瀬陸斗。左サイドではレンタル先のヴァンフォーレ甲府から復帰した高野遼が開幕スタメンを勝ち取った。
2人ともJ2での実績しかない選手だったが、ポステコグルー監督の求める特殊なサイドバックの戦術を早々に習得し、巧みなポジショニングで攻守に厚みを加えた。ビルドアップ時には中盤の喜田拓也や三好をサポートしながら、常に高い位置を取って時にはゴール前まで入っていく。
同サイドのインサイドハーフやウィングと構成するトライアングルの連係もスムーズで、それぞれがタッチライン際やインサイドなど立ち位置を調整しながら、それに合わせて変幻自在の崩しを披露する。昨季はサイド一辺倒だった攻撃に、インサイドハーフの流動性が出るようになったことで中央突破のバリエーションも増えた。